我が家には、今いるマルーさんの前に
「ボク」という名のワンコがいました。
「ボク」は私の伯母の家で飼っていたマルチーズと
ご近所のトイプードルから生まれた雑種でした。
私が小学校6年生だったある日の夕方
突然伯母さんが我が家にやってきました。
母親が応対していたのですが、呼ばれて玄関先にいってみると
伯母は
「約束していたから」
と私たちにピンク色の小さな物体を差し出してきました。
(手の平に乗せて見せてくれた)
私も母親も訳がわからず
「これは一体なんですか…」と尋ねたところ
伯母「犬」
犬?!
しかもこれ、産まれたてでは?!
伯母「そう!」
伯母さんはにこやかに答えました。
伯母さんが言うには
うちの父親が散髪に来るたびに
「赤ちゃんが出来たらほしい」と言っていたので
産まれたから持ってきた、
とのことでした。
母親も私も寝耳に水…。
とにもかくにも状況を父親に確認させてほしい
そして飼うにしても、準備がなにもできていないことを理由に
いったん乳飲み子は伯母さんに連れて帰ってもらいました。
帰宅した父親を問い詰めたところ
あっさりと自分の発言を認め
「持ってきちゃったんならそのままもらえばよかったのに」
とさらりと答えました。
それに猛反対したのは母親でした。
両親とも小さいころから犬とは暮らしていたそうですが
産まれたての乳飲み子を育てるのはさすがに初めて。
当時は今ほど情報が手に入りやすい時代ではなかったこともあり
乳飲み子の育て方に不安を感じて、もう少し犬らしくなるまでは
伯母さんの家で面倒をみてもらうことになりました。
そして2週間くらい経って犬らしく全身が白い毛で覆われたころ
もう一度伯母さんに連れられて
その子は我が家の初代ワンコになりました。
名前を決める時もひと悶着ありました。
辰年うまれなので
「りゅうちゃん」か「ドラちゃん」がいいね
と母親と話していたところ
帰宅した父親がまさかの却下。
理由を聞くと、上司(当時)の名前と被るから、でした。
その後正式な名前が決まるまでは、と
それぞれが好き勝手に呼んでいました。
私も思いついては家族に聞いてみるものの
みんなが「いい!」と思うには至らず。
それから1週間ほど経ったときに
「もう男の子だからボクでよくない?」
とめんどくさくなった私が言ってしまった一言がきっかけで
名前は「ボク」に決定してしまいました。
この由来を話すと
「じゃあ女の子だったら、『ワタシちゃん』だったの?」とよく聞かれました。
そんな訳あるかい!!
と、いつも心の中でツッコんでいたのも懐かしい思い出です。